緊急にお金が必要になったときにアルバイト先からお金借りることがありますが、
これは賃金相当額の前借りです。
給料支払日前に、まだ働いていない分に相当する額を使用者から借り入れることで
生じるお金の貸し借りということです。
労働した対価として支払う予定になっている金額を貸すのであって、あくまで借金です。
労働基準法第25条に、既になされた労働に対する支払いをしなければならないと
定められているじゃないかといわれそうですが、ここで定めているのは既に行なった
労働に対してであり、これから働く予定に対してではないということを知っておく必要が
あります。
法律に従って既に行なった労働の対価だと、前回の賃金支払日から現在までの賃金であり、まだ働いていない分は含まれないことになります。
したがってそもそも使用者側は前借りに応じる義務はなく断ることもできるので、労働者がお金借りる場合もあくまで借金ということです。つまり働く予定を想定して貸すお金であり
借金なので、使用者は労働者の労働の提供の有無を問われることはないですし、労働基準法第25条に定められている非常の場合の支払にも該当しないということになります。
お金借りるときの非常時払いの請求と前借りの違い
前借りについて説明しましたが、それでは非常時払いの請求との違いはどこにあるのかと
いうと、労働の対償で有るか無いかです。前借りはあくまでお金を借りる行為であり、
もう一方は法律を根拠に働いたことに対する労働の対償として支払われるので、未払い
の賃金ということになります。
非常時払いの請求については金額の上限は前回の締め日後の労働により発生した賃金の
未払い分であり、借金ではなく賃金、労働の提供の有無については、すでに提供されて
いることが必要だとしています。
また前借りだと使用者は応じる義務はありませんが、
未払い賃金の場合は給料日前であっても支払う義務が生じます。
それでは非常時とはどんな時を指すのかというと、これも
また法律により定められています。具体的には労働者本人、
またはその収入によって生計を維持する者、つまり家族が出産や
病気、災害に遭ったときなどで細かく決められています。
労働者から請求があった場合の支払期日までは定められていませんが、緊急にお金借りる必要があるための請求なのでできるだけ迅速に支払うことが求められます。
支払の対象となる賃金には残業代や休日手当も含まれるので請求があった場合、使用者はこれら全てを
含めて支払い義務が生じます。
このようにアルバイト先でお金借りる方法には2つありますが、それぞれ趣旨が違うことを知っておくこと
が大切です。